老後の生活費は月18万円で足りるのか?
持家と賃貸で「中身」がまるで違うと気づいた話
老後の生活費の目安としてよく聞く「月18万円」。
実は私のシミュレーション記事も、この数字を軸にしています。
でも最近、統計を調べていて、
「18万円の中身は人によって全然違う」
ということに気づきました。
今日はその気づきについて、統計をもとにお話しします。
老後の生活費、平均は月いくらなのか
総務省の「家計調査」によると、単身世帯の消費支出は平均約17万円。
次の表を見てほしい。

(表:単身世帯の消費支出データ)
やはりこのくらいは必要なのか・・・という印象だ。
これを年金だけで賄うのは難しいなと感じた。
でも待てよ、この家計調査を見ると、回答者の54%が持ち家だ。
住居費は平均で約16,000円となっている。
あれ?!
最初は「高齢者の住居費は意外と安いな」と思った。
しかし内訳を見ると、持ち家世帯が多く含まれている。
つまり賃貸の人の実際の負担感は、この平均値だけでは見えにくい。
半数以上が持ち家ということは、賃貸の人は半分以下しかいない。
だから分母が大きくなって、家賃地代が平均値で16,000円と安く出ているということだ。
そういうことかぁ・・
となると、賃貸に住んでいる人はもっと月額の支出が高くなる可能性がある。
私のシミュレーションも「18万円」を軸にしていた
私は最近、取り崩しシミュレーションを記事にしている。
老後の生活が、資産の取り崩しと年金でまかなえるのかを試算したものだ。
その時の生活費は18万円。
全国平均の17万円には近い。
しかし、賃貸か持ち家かでこの見積額は変わってくる可能性が見えてきた。
実際にどんな取り崩しシミュレーションをしたかは、こちらの記事「資産は増えているのに生活費が足りない?取り崩しの落とし穴を検証」で詳しく書いている。
もとになっている100歳までのシミュレーション全体は「65歳で4000万円あれば安心なのか?100歳までシミュレーションしてみた」にまとめている。
持家と賃貸で「18万円の中身」はまるで違う
令和5年のデータでは、高齢単身世帯の持家率は67.5%、賃貸は32.2%となっている。

(図:世帯の型、住宅の所有の関係別割合)
結構、高齢者の単身世帯でも賃貸の人が多い印象だ。
一人暮らしだから持ち家を持つほどでもないと考えたのか、
ずっと賃貸住まいだったからそのまま来たのか・・・
単身者の人生を垣間見た気がした。
持ち家の単身者は、
相方に先立たれた、
実家にもともと住んでいて一人になった、
離婚した、そんな方が多いのかな。
持ち家一人暮らしの実情もさまざまだろう。
自分と似ているため興味深い。
持家67%の人たちは、
住居費が固定資産税・修繕費程度で18万円で生活できそうな気がする。
大丈夫だろう。
ただ、修繕費の用意はしておいたほうがいい。
昨今は修繕する人件費も材料費も高いからである。
32%の賃貸のお財布事情が気になる。下の表を見てほしい。

(表:借家の種類別家賃の推移)
おっと・・・声が漏れた。
地方で実家暮らしの私が思う以上に高い。
賃貸ってこんなに高いの?!
民間の借家でも鉄筋なら68,000円、木造で54,000円かぁ・・
賃貸の場合、月5.4万〜6.8万円が住居費に消える計算になる。
18万円のうち3〜4割が住居費というのは、これは厳しい。
私は賃貸派じゃ、月18万円では厳しいケースも多いのではないかと感じた。
家賃を5万円と見積もるだけでも23万円になる。
地域や物件によっては25万円近く必要になるケースもありそうだ。
地域によっても差がある
ちなみに、賃貸価格は都市と地方でも差が歴然とある。参考までに表を載せておく。

(表:専用住宅の1か月当たり家賃・間代-都道府県)
東京77,174円、北海道40,361円。
感じていた通り、やっぱり東京は高い。
東京で一人暮らししている人の出費の多さを思う。
私なら、通勤通学に1時間以上かかっても、郊外住まいを考えたかもしれないな。
なお、この表は平成25年のデータで少し古い。
今ではもっと差が開いている可能性を指摘しておく。
都市の賃貸価格はどうしても高くなる。
土地価格や需要の高さが賃貸価格に反映されているのだろう。
企業が集中して人口密度が高くなる。
職場に近くて便利な都会には、人が集まってくる分、家賃も高止まりする傾向にある。
対して青森県などは賃貸価格が下落している。
過疎化が進んでいる可能性を感じた。
住む場所も大事ということだ。
結論:18万円は「答え」ではなく「自分で考えるための軸」
ここまで、平均的な単身者の月の支出額と、それに占める賃貸価格を見てきた。
持家か賃貸か、都市か地方かで、同じ18万円でも余裕度はまったく違う。
私が今回のデータから感じたのは、
持ち家と賃貸では同じ18万円でも意味がまるで違うということだ。
持ち家なら18万円でも現実的かもしれない。
一方で賃貸の場合は、住居費を考慮して23万円前後で考えた方が安心できそうだ。
18万円、田舎の持ち家なら、趣味にもお金を投入できる余裕がありそうだ。
私は今のところ、地方の実家暮らし。
賃貸代がかからない。
これはありがたいなと改めて思う。
実家パワー炸裂だ。
あなたの場合はどうだろうか?
持ち家?
それとも賃貸?
私も今は実家だけど、先はわからない。
賃貸に住む可能性だってある。
大事なのは、世間の相場を知っておくことだ。
それがわかれば、今後の予想が立てやすくなる。
数年後、賃貸になった、持ち家を持った・・・
変化は人生につきものだ。
その時に相場観があれば、生活の見通しが立てられる。
老後資金はいくら必要かは、実は生活費の見積もり次第で大きく変わる。
「3000万円あっても約4割が老後不安|安心はお金だけでは買えないのか」も、あわせて読んでみてほしい。
また「2000万円問題はムリゲーだと思っていた私が、4000万円シミュレーションで考えを変えた理由」では、2000万円問題への考え方の変化についても書いている。
この記事が、あなたの現在地と未来にちょっと光を加えられたなら嬉しい。
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